前編に続き、こちらでも簡単な音楽理論と、特にロマン派に役立つ表現につなげるために知っておきたいことを載せていきます。
ご参考になれば幸いです!
倚音を感じる
倚音とは
少し難しい話になりますが
倚音(いおん)とは、和声音ではない音です。(非和声音)
非和声音とは、例えば左手が伴奏、右手がメロディーといった曲の場合、
左手の和音に含まれない音(和声音以外の音)が右手のメロディーの中にある、
これが非和声音です。
拍の頭に入っていて、必ず次の音は2度(となりの音)上または下に進行して、必ず次の音で和声音として解決する音を倚音といいます。
文章にすると分かりづらく、「和声音?解決?」となるかと思いますが
ここでは簡単に、なんとなく感じとってもらえればと思います。
下記に楽譜から例を取り、簡単な倚音の見つけ方を載せていきます。
倚音を見つけてどうするか
倚音を見つけてどうするのか
倚音には必ず緊張が生まれます。そして、次の和声音に解決したときに必ずホッとするような響きがします。
この「緊張」と「緩和」をしっかりと感じとります。
実際に弾くときには、倚音に重みを乗せてテヌートぎみに(他の音よりもほんの少し長めに)弾くと
雰囲気が変わります。
この、ほんの少し長めに弾くことで倚音を強調して、解決した音は丁寧にやさしくおさめます。
ブルグミュラー『別れ』
1小節目、倚音『ミ』に重みを乗せてテヌートぎみに弾き、解決した『レ』は丁寧に優しくおさめます。
ブルグミュラー『バラード』
47小節目、倚音『ラ♭』に重みを乗せてテヌートぎみに弾き、解決した『ソ』は丁寧に優しくおさめます。
倚音につく『>』について
『>』アクセントは、「その音を強く」と言われますが
必ず強く弾くというものではありません。
アクセントには
その音に気持ちを乗せて
その音に印象を持たせて
その音を聴かせて
という作曲者の思いがあります。
ですので倚音に『>』がついていることがよくあります。
出版社によって倚音に『>』がついていたり、ついていなかったり楽譜の違いがよくあります。
原典版に『>』がついていなくても、他の版では『>』をつけて出版されたりしています。
ちなみに、例の楽譜は原典版です。
ですので、理論的に倚音を見つけるのがよく分からなかったら、
極端ですが(^_^;)
『>』がついていて、次の音がとなりの音に進んでいたら
『>』がついている音は倚音の可能性があります。
気持ちを乗せてテヌートぎみに弾いたり、どんな感じで弾いたらよいかが見えてきそうですね。
半音階
半音階は、どこからはじめても半音の進行なので、曲の中に半音階を使うことで
何調にいるのかわからなくなり、その先はどの調にも転調しやすくなります。
ブルグミュラー『舟歌』
この曲は変イ長調ですが、転調をして30小節目は変ホ長調で終わります。
終わりに向けて変イ長調に戻るため、『レ』に♭をつけたいので
自然な流れで31小節目で半音階が使われています。
この半音階はもとの調に戻っていく(おさまっていく)ところなので、
半音進行を丁寧に大切に音をつなげていきたいところです。
またdimin.e poco rall は、この半音階で表現をしたいところです。
ブルグミュラー『バラード』
前記の倚音の「ラ♭~ソ」のところは、ハ短調とハ長調で引っ張りあっているような感じです。
この流れで、50小節目の半音階でハ長調からハ短調へ戻ろうとしています。
このように
半音階の先には転調が起こりやすいので、何調に向かっているのかを感じ取ることで表現につながります。